11月3日公開『グッド・タイム』ジョシュ&ベニー・サフディ監督 インタビュー

●『グッド・タイム』のストーリーができるまで (ジョシュ・サフディ監督)
ロバート・パティンソンは電話でこう言いました。「どんな作品でもいい。あなた達の次の映画に関わりたい。どこにでも好きな所へついていくから。」とね。彼が演じるコニーは、リアリティ番組「全米警察24時 コップス」に出てくるような低レベルの犯罪者をイメージしました。コニーの中にある切望やもろさに私はとても心惹かれますが、それはロバート・パティンソンが本来持っているものでもあると思います。ロバートはロンドンの郊外出身ですが、NYクイーンズの荒々しい世界に溶け込む必要がありました。だから彼は誰よりも苦労していましたよ。なのでロバートは脚本を書き始める前に何カ月もかけて、コニーという人物を作っていきました。

私たちが登場人物を大好きでいることが大切です。彼らは常にヒーローで、人生の現状維持を拒否し、成功するために全力を尽くします。ロバートと私たちがたどり着いたのは、とてもチャーミングで好感を持てるけれど、驚くほど矛盾した側面のある男です。ロバートは、自分もつながりたいと必死なよそ者の、まさに電気のヒューズのようなものを創ることができたのです。誰かのために物語を書くとき、その人が持つ要素もキャラクターに反映させなければなりません。

(劇中描かれない)コニーの生い立ちは、刑務所に入ったことで兄弟は離れ離れになり、多くの受刑者と同様にコニーも、どこで道を誤ったのかと考え始めます。そして出所後、弟に償いをすることだけが彼の人生の目的となるのです。2人の自由を確保し、役所の調査や最低賃金労働、その他の落とし穴に満ちた希望のない世界から、弟を連れて抜け出す方法を探していたのです。皆、クイーンズ出身であることを誇りにして語るけれど、クイーンズを出て大都会に住もうと努力しているのも事実。決してカッコいい場所ではないのです。『グッド・タイム』は「うまくいかない一夜」を描いた作品ではあるけれど、純粋に登場人物と彼らが置かれた状況から生まれたものです。私たちは、100分ある上映時間のうち1分1分の登場人物たちの行動すべてにこだわりました 。

音楽にもこだわりがあります。映像で見える要素のすべてに、“それぞれの音”があり、コニーがあるシーンで着ているオレンジのパーカーにも音があります。音楽は、作品のもう1人の登場人物なのです。イギー・ポップが歌詞を書いたエンディングの歌「The Pure and the Damned」で、イギーは兄コニーを罪深い者(damned)、弟ニックを純粋な者(pure)としました。彼は“純粋”な人だけでなく“罪深い”人も、愛ゆえに行動を起こすということを示唆している。イギーの「もつれた紐から自分自身をほどく」という歌詞を聞いて、分かり始めたことがあります。コニーは、ただその紐に絡まっているだけなのだと。銀行強盗は、弟を元気づけ、純粋に人生を味わわせるための方法だった。彼には目標とする兄弟の理想像があり、それはただ、楽しみたい(have a Good Time)ということだった。どれだけ多くの人に邪魔されようとね。

●多才な顔を持つ弟 (ベニー・サフディ監督)
本作に出てくるコニーとニックのどこまでもとことん兄弟を守りたいという気持ちは、十分理解できます。この考えは、子どものころから私たちの頭に叩き込まれていましたから。子ども時代はとても騒々しく劇的状況に満ちていて、私たちは互いの人生で唯一変わらずそこにいる存在だったのです。

私がニック役を演じると決まってから、創作プロセスはスピードを上げて進み出しました。ロバート・パティンソンと私はコニーとニックとして何週間も文通を続け、兄弟になりきって人生について語り合いました。互いに役立つ深い物語を作りましたよ。ロバートにとっては、コニーの過去の話をより深く創り上げることができ、私はニックが取る行動の動機をより理解することができました。ニックはどんな状況でも、邪魔されず1人でいられる限り機嫌がいいのです。周りの人々に立ち向かうこともできますが、刑務所に入ってしまうと自分の限界が分からなくなってしまいます。行動が引き起こす結果というものを、理解できないのです。

ニック役はとても苦労しました。役に入った状態で共同監督としての仕事もこなしていましたから。ある種の感情がなく、発せられない言葉もあるという役柄でしたからね。スクリーンテストをして初めて、カメラに映る自分の肉体が力強いことに気がつきました。模索中だった別の役のためにボクシングを始めており、体重も増えていました。今こそこの肉体を使うときだと思いましたね。ニックの特徴は、その存在感に表れます。押し倒したり、無視したりできるような相手ではない。だからこそ彼の気性は激しく複雑なのです。自分の力強さを認識してはいるけれど、それを使うタイミングを完全にコントロールすることができないのです。

INTERVIEWEE

ジョシュ&ベニー・サフディ監督