エイプリル・マレン監督オフィシャルインタビュー

エイプリル・マレン監督オフィシャルインタビュー

まず、最初に脚本を読んだ印象は?この作品に関わろうと思った最大の理由は何でしょうか?
脚本を読んだときは、ちょうど大恋愛から失恋した後だったんです。そのため、脚本を読んだときに深く、深く共感をして、自分が恋愛したときの瞬間や思い出などを監督として表現したいという思いに駆られました。欲望とはなんだろう、一瞬にして恋に落ちるということはどういうことなのだろうかと考えました。この映画は48時間という過程を90分の映画で表現してみたかったんです。一瞬で恋に落ちるなんて本当?と感じる人も多くいますが、本当にそういうことが起きるんだってことを、リアルに表現したかった。
アンダー・ハー・マウス_メイン

今回、この映画はスタッフ全員女性で製作されたということですが、どの段階で、オール女性スタッフで作ろうと思ったのですか?
この映画を創るうえで意識的に大事にしたことは、女性の視点で描いたものをなるべく新鮮で、これまでに見たことがない形で観客に届けるということでした。今回は、脚本家もプロデューサーも監督の私も女性ですが、その他のスタッフも女性で揃えようということになりました。当初は現場スタッフだけを女性で揃えようということになったのですが、撮影後の編集や音付け作業を含むポスプロ段階においても全部女性をそろえようということになりました。
実際女性が手掛けているとどういう違いが出てくるのかというのは、うまく言えないのですが、何かが違うわけです。女性の視点、女性が語る映画というのをこの1年考えてきたのですが、私なりにたどり着いた答えは透明性だと思います。女性はあまり壁がないんです。割と自分をさらけ出す生き物だと思っていて、他人からジャッジされる恐怖心は、男性に比べて比較的無いんじゃないかと思います。女性が作り出すアートとそれを見る観客との間の壁はあまり分厚くないと思います。だから女性視点で描いたものは、エキサイティングなものになるんだと思います。
アンダー・ハー・マウス_サブ1

オール女性スタッフで撮影して、一番良かったことは?マイナス面も教えてください。
女性スタッフで揃えて一番良かったことは、みんなが一丸となって、同じミッションを背負っているんだという意識があったことです。現場のエネルギーもスゴイ良く、みんなで一丸となると物事がどんどん前に進んでいくんです。つまり、すべてのスタッフに“女性の視点の物語を描くんだ”という意識があったので、みんなが全力を尽くしてくれました。
もう一つの利点は、主役の二人がオール女性スタッフということでとても安心して取り組める環境が作れたということです。それでもSEXシーンは、マイクも全部隠し、私と撮影監督だけの密室で行われたのですが、男性視点でありがちな先入観や批判などもなく、ふたりも支えられていると感じられる環境で撮影ができ、ふたりもとても安心して挑むことができました。
マイナス面は、トイレがいつも混雑しているということ。また、力の強い女性もいたけど、大道具などの重いものを運ぶのは大変だったかな。一緒に働くのは女性でも男性でも私は構わないですが、今回はとても良い経験になりました。

女優初挑戦となるエリカ・リンダーを主演にキャスティングした一番の要因はなんでしょうか?
ダラス役のキャスティングは難しかったです。リアルな演技をしてくれる人が欲しかったので、レズビアンのダラス役には、演じるのではなく本当にレズビアンである人をキャスティングしたくて探していたのですが、なかなか見つけられませんでした。どうしようかと本当に困り、遂にgoogle検索をするにいたりました。そこで、エリカの顔が目に留まったのです。モノクロの映像で、何も話してはいなかったのですが、色々なポーズをしていて、とにかく彼女の顔にくぎ付けになり、パーフェクトな顔立ちだと思いました。スター性があり、見入ってしまう何かを持っていて、魅力的な人だと感じました。身のこなしもとても素敵で、絶対に彼女がダラスだと思い、出演をお願いしました。エリカは、最初はとても緊張していたのですが、もともと持っているものを膨らませればよいだけでした。私が発見したので、私のジョニー・デップだと思っています(笑)。
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撮影中、エリカは女優としていかがでしたか?彼女に一番驚かされたことは?
とても飲み込みが早いことでした。どうしてもカメラの存在を気にしてしまう俳優もいるのですが、エリカはカメラとのバランスがとてもよく取れていました。立ち位置を決めて撮影をするのですが、そういうこともちゃんと理解し、撮影2~3日目には全く問題はなくなりました。これまでにも演技初挑戦という人と仕事をしたことがありますが、彼(女)らと比べてもとても理解が早く、カメラを手名付けつつも、カメラをシャットアウトすることができる人でした。意識を完全に相手役のナタリーに集中することもできるし、彼女はスウェーデン人でちょっと訛りもあり、口がうまく回らず難しいセリフもあったと思うのですが、撮影にはきちんと準備して臨んでくれました。

監督の一番のお気に入りのシーンはどこでしょうか?その理由は?
脚本と撮影、編集はそれぞれ別物で、編集段階に入って何か足りないと感じました。恋に落ちていく瞬間って時間が消えていくんですが、その感じがでていないと気づきました。時系列で追うだけでなく、主人公の二人が時間の渦の中で迷子になってしまっている感じを出したかったんです。ダラスの部屋に二人でいるシーンで、「いかないで」とダラスが言い、いつの間にか日が暮れているという1日を描いているのですが、そこで囁かれる「あなたの体の細部を覚えようとしているんだ」という台詞が気に入っています。いかに恋というものが儚いかということを象徴しているセリフだと思うんです。恋に落ちる瞬間も、最中も、いつかこれが終わるという意識があり、完全にそれを味わうことができない様を描いています。撮影中、カメラのセッティングを変える間も、エリカとナタリーは役になりきったままそこにいて、そういう瞬間瞬間を捉えました。ちょっと笑いあったり、囁き合ったり、自然に役を演じてくれている瞬間を捉えてます。そういった魔法のような瞬間を捉えて、映画の中に入れています。

INTERVIEWEE

エイプリル・マレン