記憶~愛する人へ~ ★★★★☆

全16話

ベテラン俳優、イ・ソンミン主演の大人のヒューマンドラマ。家族と自らの人生を振り返る感動作。主人公は、出世街道まっしぐらで、強引な仕事ぶりが際立つテソン法律事務所の弁護士パク・テソク。彼は、バツイチで現在の嫁との間に子供が2人。前妻は、判事のナ・ウンソン(パク・ジニ)で、彼女との間の子供は不慮のひき逃げ事故で死んでしまう。幼い子供を失った失意を引きずるウンソンは、テソクとの離婚後も引き逃げ犯を追い続けている。一方テソクは、その辛い過去の出来事から逃げていた。
ある日、突然、テソクは親友の医者からアルツハイマーの初期であることを告げられる。薬で進行を遅らせることはできても、現代の医学では不治の病。

このドラマは、記憶をなくしてしまうという病気にかかってしまったテソクが、病状の進行とともに本来の自分を取り戻していく物語です。自分が働く大手弁護士事務所のわがままなクライアントのために、事務所の利益だけを考えながら弁護士の仕事をしていたテソクが、病気によって少しずつ、理不尽な仕事を回避するようになったり、自分が逃げてきたひき逃げ事件に向き合い始めたり、父親との確執にも少しだけ歩みよったり、そんなわずかな変化を感動的に描いています。ドラマ「ミセン」の人気によって、一躍トップスターの地位に躍り出たイ・ソンミン。それまでは卓越した演技で脇を固める役者でしたが、本作では主演というポジションで、彼の熟練技ともいえる演技を存分に披露しています。そんな彼が演じるテソクを支えるのが、同じ法律事務所で働く若手弁護士と彼の秘書、そしてテソクの妻と子供たち。更に、テソクの年老いた母と、テソクとは犬猿の仲の父。

もしも自分が、自分でなくなってしまう病気になってしまったら。。。
特異な病気ではあるけれど、このドラマの冒頭にあるように、不幸は突然やってくる。
自分にはあり得ないことではない。自分が自分でなくなってしまうのは、死よりも残酷なことかもしれない。
自分の大切な人を忘れ、自分が誰なのかもわからなくなる。
その恐怖が少しづつ迫ってくる。
その過程に直面するテソクと周囲の人物の心情をとても細やかに描いた作品でした。
そして、テソクの日常だけでも充分成り立つところに、韓流らしく過去のひき逃げ事件の犯人との葛藤、悪徳企業の御曹司の悪行などを織り交ぜながら、ドラマとしての抑揚を作り上げエンタメ作品として昇華させているのも見どころです。

ラストシーンでのテソクの表情がとても印象的なドラマでした。